はじめに

人工心臓とは、その名の通り心臓の代わりあるいは心臓の補助を行なう血液ポンプです。人工心臓は大きく2つに分類されます。一つは、自己の心臓と入れ替えて装着する、「完全人工心臓(TAH)」と自己の心臓を残し、心臓の機能が弱った分を補助するように装着される、「補助人工心臓(VAD)」です。完全人工心臓の症例は少なく、現時点で日本では補助人工心臓のみが保険で認められた医療機器となっています。

人工心臓は血液を駆出するポンプで構成されますが、血液ポンプの種類によっても分類でき、自然心臓に近い駆出パターンの拍動流を生み出せる拍動流型ポンプと、一定の拍出量を連続的に供給する定常流型(連続流型)の2種類に大別されます。

人工心臓の開発初期には、拍動型が主流でした。拍動を生み出す動力源には、空気圧や電磁石などが用いられます。右の図は空気圧駆動の拍動型ポンプの例です。空気の圧力でサックと呼ばれるやわらかい袋を圧縮・拡張させて血液を拍出させます。血液の流入・流出部には弁が装着され、血液を一方向に流します。

拍動型のポンプは生体と同様の拍動流を駆出できるという利点がありますが、空気圧などを発生する駆動装置は大きくなってしまいます。また、弁が必要なため、故障や破損のリスクがあります。

一方連続流型ポンプの例としては遠心ポンプが挙げられます。遠心ポンプは右図のようにポンプ内部のインペラ(羽根車)やコーン(円錐)を一方向に高速回転させ、インペラの遠心力によって生じる、中心と円周部の圧較差により血流がつくり出されます。拍動型のような弁は不必要ですが、回転が遅くなったり止まったりすると逆流が生じることがあります。遠心型以外にもインペラの前後に作用する揚力を利用し、回転軸方向に血液が生じる軸流型ポンプも連続流型の一つです。

連続流型ポンプは、軸のシールや高速回転する羽による溶血などのリスクはありますが、人工弁が不要であること、構造が簡単であること、小型化が可能であることなどから、機械的信頼性が高く、耐久性の面で有利であることが多いとされています。

現在、補助人工心臓の装着が保険で認められていますが、連続流型ポンプが主流であり、ポンプ本体を体内に植込むことも可能です。

当研究室で対象としている課題

 

 

 

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